ローズ・トゥ・ロードとは?

新ローズなどと言われてはいるが、私は初代のローズ(いわゆる旧ローズ)を知らない。
そのため、あくまで私にとってこれが「ローズ」なのだ。

さて、ローズとはどんなゲームか?
とりあえず人を集めて、とりあえずゲームをやってみようと思って初めてルールブックを開いたならば、間違いなく首を傾げることになるだろう。

実に、読みにくい。

ルール部分があちこちに散逸していて、その合間合間に物語風の口調で世界設定が語られるのだ。
おまけに、キャラクターメイキングをしようと最初から順番に見ていくといきなり、シナリオにぶち当たるという編集になっている。

散逸しているルールをまとめると、A4サイズで2ページに満たないのではないだろうか。

ルールの本体を見ると、とても単純でありながら、独創的なルールになっている。
といっても、15年前の基準で見たら、だけど。

判定は別に独創的でもなんでもない。今でもよく見られる形式だ。
何が独創的かというと、能力値の取り扱い方である。
能力値には身体・反応・心魂・魅力の4つがあるのだが、これらはいわゆるヒット・ポイントもかねている。
つまり、キャラクターがダメージを受けたとき、そのダメージを身体・反応・心魂の三つに割り振るのである。
これによって、次第に傷ついていくキャラクターが表現される。
減った能力によって、傷の種類も表現できるという寸法だ。

あと特筆すべきルールといえば、魔法のルールくらいしかない。
このゲームでは心魂を消費して魔法を発動する。
で、何が凄いかというと魔法の習得方法だ。
最初魔法を覚えるときには、「どんな魔法を覚えられるのかが全く分からない」のである。
魔法は全てカード化されていて(フルカラーのなかなか美しいカードだ)、系統ごとに数種類の魔法が存在している。
そして、初めて魔法を発動させるときには、『そのカードの中からランダムで』魔法が発動するのである。
首尾よく十分な心魂があれば、その魔法を習得して以降自由に使うことができる。

さらにその魔法の中身が凄い。 ファンタスティックとしか表現のしようがないのだ。

「安息の館:その場で術者はメルヘンな一軒家に変身する。招きいれられた者は全回復する。〜」

つまり、何が出るか分からずいちかばちか魔法を発動した瞬間、その場におとぎ話に出てきそうなメルヘンな一軒家が突然姿を現すのである!

他にも、石の声を聞くことができるなどのファンタジーな(そして役に立つのかどうかよく分からない)魔法がてんこもりである。もちろん普通に使える魔法もあるのだけれども。

システムはだいたいこれでおしまい。後は、幻想に満ちた世界設定が延々と記述されている。
派手さはないけれど、丁寧にさりげなくファンタジーなワールドパート。逐一ノルダレア語が併記される名詞。一筋縄ではいかない、ついついシナリオに出したくなる魔族たち。
そんなこんだで創作欲求を刺激される一方で、自分のファンタジーを詰め込んでも受け入れてくれる寛容さが、このゲームにはあるのだ。

興味をもたれた人は、とりあえずリプレイ付きのサプリメント「ストレンジ・ソング」を購入して読んでみることをオススメする。実際に遊ぶときには、最近出たサプリ第2弾、「ゲームマスター・スクリーン」があるととても遊びやすい。散逸していたルールが実に分かりやすくまとまっている。

私はRPGは遊び手自らが創り出すものだと思っている。
そして、ローズトゥロードには何かを創りだそうとする、遊び手に創り出して欲しいと願う、創り手たちの想いがこめられている。

あなただけのファンタジーをローズを用いて作り出してみてはどうだろうか。

著:Mya-

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