ヴァンパイア:ザ・マスカレード

貴方、それでも人間なの──?

ヴァンパイア:ザ・マスカレード』とは如何なる RPG か。
端的に言うと「ゴシックパンク」に生きる「ヴァンパイア」をプレイヤー・キャラクターに据えた RPG である。

尤も、これでは何のことやら分からない。解説を加えていこう。

ヴァンパイア

ご存知の通り、プレイヤー扮するヴァンパイアというのは、血を吸う怪物である──怪物?
そう、プレイヤー・キャラクターは、怪物なのだ。 人間の血を啜り、怪力を誇り、目を合わせただけで相手を魅了し、狼や蝙蝠に変身する。これを怪物と呼ばずに一体何と呼ぼう?

だが、ここで少し立ち止まって、彼等について考えてみてもらいたい。
ヴァンパイアはどうやって生まれるだろうか。映画などでよく見るように、『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』でも、ヴァンパイアは人間から創られる──多くの場合、本人の意思に関係無く。
そして、ここが重要な点なのだが、人間からヴァンパイアになったからといって、心まで怪物と化してしまう訳ではないのだ。

お分かりかな?
ヴァンパイアたちの心は、人間の時のまま、詰まり、君等と変わらないのである。

彼等は血を吸わなければ生きていけない。永遠に生きるヴァンパイアのこと、いつかは、おぞましい吸血行為に慣れてしまう日が来る。大抵は、自分でも気付かぬうちに……。

そして、こう言われてはっとするのである。

「貴方、それでも人間なの──?」

ゴシックパンク

はっとしないヴァンパイアもいる。彼等は長老と呼ばれる。
長老達は、その呼び名から分かるように数百年、時には千年以上を生きている。

それだけ長く生きているのだから、今更人間の血を吸うことなど意に介すまい。吸血どころか、殺人さえ平気で行うだろう。 君がヴァンパイアになるということは、そのようなヴァンパイアがうようよいる社会に新参者として入ることを意味する。

その社会では、弱くて何も知らないヴァンパイア(そう、君等のことだ)は、全く敬意を払われない。 単に駒として使い捨てられることもしばしばである。

君はそのような状況に堪えられるだろうか?

確かに、数百年、数千年生きたヴァンパイアは強い。考えられないような超常能力も、数多く持っているだろう。彼等の命令通りに動いていれば、明日の命は保証される。

だが。
そんな生に意味があるのか?
人の血を吸い「人間性」を犠牲にしてまで送る人生を、そんな詰まらない事に費やすのか?
膿み切った保守社会の底辺として、永久に社会に奉仕し続けることができるのか?

これに是、と答える者、それは最早キャラクターではない。ストーリーテラーの描写する「背景」である。
これに否、と答える者。君こそがプレイヤー・キャラクターであり、その生き様こそが「パンク」である。

(ゴシックは……ほら、ヴァンパイアが出てくるし、さ)

さて、始めに戻ろう。 『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』とは如何なる RPG か。

ゴシックパンク」な「ヴァンパイア」を生きる RPG である。

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